Punch Nacionales 80S
2016-09-05
パンチ ナシオナレスは80年代に廃盤となっているので、現在は全く見ない。60年代に製造が開始されたこのビトラは、シガーのスタンダードなサイズのコロナ。
正確にはRG42×135mm、ビトラ・デ・ガレラ:コサコス(ビトラ・デ・サリダ:コロナス)。ドレスボックスに25本入りで販売されていた。
ラッパーはコロラド・マデューロ。経年変化で少しくすんだ色合いになってトーンが落ちているように見える。葉脈は浮き上がり、表面はぼこぼこと波打つ。葉の柔軟性は失われ、持った感触は堅い。
木の芳香をたっぷりと蓄え、存在自体がすでに木の棒と化しているようだ。
すでに柔軟性を失っているので、古いシガーのカットには神経を使う。ラッパーを押し割る可能性も高いので、パンチカットが古いシガーには適しているが、ここはフラットカットが成功した。
フットに火を灯すと、荒い黒砂糖の塊が広がった。
喫煙する。穀物のコクと甘みが炊いた新米のようだ。その粘質な甘みはだがさらっとしていて、背景に日本家屋のような渋みを感じる。ミディアムフル。
喫味はビターが主体だ。骨組みはウッドで、華やかさはないが馥郁たるアロマが鼻腔と口腔を喜ばせる。ほんのりペッパー、ナツメグ、チョーク、白粉。
中盤、白粉が強くなる。強喫煙するとビターと白粉が渾然一体となり自失する。
心地よいビターは不快でなく快を呼び、上顎と舌下をミシミシと締め付ける。ドローがやや固めなので吹き戻しを駆使すると爽やかなウッドがそよ風のように鼻をくすぐる。
終盤にはウッドが立ってくる。終始穏やかな喫味は衰えず、それどころか枯れたビンテージ感溢れる喫味は包み込んでくるような広い香木で、揺蕩うような時間をくれる。
60分で喫了。現行のパンチとのブレンドの大きな違いを感じる。古いものも新しいものも、それぞれの良さがあるがこういうシガーに触れあえるのも悪くない。